配信用のオーディオインターフェースは、つなぐマイクの数と端子、マイクが必要とするゲインと電源、PCの音を配信に混ぜる方法の3つで選びます。
PCで鳴っている音をインターフェースの中で録音側へ戻す機能をループバックと呼び、OBSでの音の取り込み方は、この機能を使うかどうかで変わります。
この記事は、XLRマイクを使う予定で、配信用にインターフェースを選びたい方に向けたものです。
内容は、ヤマハとFocusriteの公式ページ・サポート記事と、OBS Studioの公式ナレッジベースに基づいています。
製品をPCにつないでの確認はしておらず、実機での再現は含まない内容です。
製品の仕様は、2026年10月18日に各メーカーの公式ページで確認しました。
先に決める3つのこと
| 決めること | 見るところ | 理由 |
|---|---|---|
| マイクの本数と端子 | XLRを挿せる入力の数 | 2人で話す、楽器も入れるなど、同時に使うマイクの数だけ入力が要るため |
| ゲインと電源 | マイク入力のゲイン幅と、+48Vのファンタム電源 | コンデンサーマイクは電源が、出力の小さいダイナミックマイクは大きなゲインが要るため |
| PCの音の混ぜ方 | ループバックの有無と、配信ソフトからの見え方 | OBSでの取り込み方と、音が二重になる原因が変わるため |
USBマイクとXLRマイクの違いや、大きなゲインが要るマイクの例は、配信用マイクの選び方で扱っています。
この記事では、XLRマイクをつなぐ側のインターフェースに絞って説明します。
ループバックとは
Focusriteのサポート記事では、ループバックを、コンピューターから出た音をインターフェース内の仮想入力チャンネルに戻す機能と説明しています。
仮想入力は本体に端子が無い入力で、録音ソフト側では、ほかの入力と同じように選べるとされています。
ヤマハのAG03MK2の製品ページでは、ループバックの使い道として、BGMや効果音を取り入れる、別の通信機器のボイスチャット音を加える、などが挙げられています。
ループバックでPCへ戻る音の中身は、製品と設定によって違います。
ヤマハ AG03MK2の場合
AG03MK2では、PCへ送る音を本体の STREAMING OUT スイッチで DRY CH 1-2G・INPUT MIX・LOOPBACK から選ぶ仕様です(仕様ページの記載)。
ヤマハの米国サイトのFAQ(英語)では、それぞれのモードでPCへ送られる音が次のように説明されています。
| モード | PCへ送られる音 |
|---|---|
| DRYのモード | CH1とCH2(AG03は2G)に入った音で、つまみとフェーダーの影響を受けず、別々に録音できる |
| INPUT MIX | 本体に入った音をステレオにまとめたもので、PCの音は送られない |
| LOOPBACK | 本体に入った音とPCの再生音をステレオにまとめたもので、主にネット配信向け |
FAQの中では、DRYのモードの名前が仕様ページと少し違う書き方になっています。
出典:AG03MK2 概要、AG03MK2 仕様、AG03MK2 FAQ(英語)(いずれもヤマハ)。
Focusrite Scarlettの場合
Focusriteのサポート記事では、Scarlett Solo・2i2(第4世代)にはステレオのループバックが1組あり、PCで鳴った音をチャンネル3と4として録音や配信に使えると説明されています。
マイクの音も同じ入力にまとめたい場合は、Focusrite Control 2の環境設定で「Send Direct Monitor mix to Loopback」にチェックを入れ、Directタブでダイレクトモニターをオンにする手順が案内されています。
このときループバックに送られるのは、入力とPCの再生音を合わせたダイレクトモニターのミックスです。
Focusriteの対応表では、Scarlettの第4世代はすべてループバックに対応し、第3世代はSoloと2i2だけが非対応、第2世代と第1世代は非対応です。
中古などで旧世代を選ぶ場合は、世代によってループバックの有無が変わる点に注意してください。
出典:Focusrite Control 2でLoopbackを使用する方法、Loopback機能を搭載しているFocusriteインターフェースはどれですか(いずれもFocusrite)。
OBSでの取り込み方は2通り
画面の名前は、この機に入っているOBS Studio 32.2.2の日本語の表示ファイルで確かめました(OBSは起動していません)。
OBSの公式ナレッジベースは、ページへのリンクを控えるよう求めているため、出典は記事名だけを書きます。
ループバックを使わず、PCの音はOBSで取り込む
インターフェースはマイクの入力としてだけ使い、OBSの設定の「音声」にある「マイク音声」でインターフェースを、「デスクトップ音声」でPCの音の出力先を選びます。
AG03MK2の場合は、STREAMING OUT を INPUT MIX にすると、本体に入った音だけがPCへ送られます(ヤマハのFAQ)。
ゲームや通話アプリの音を別々に調整したい場合は、ソースの「アプリケーション音声キャプチャ (ベータ版)」で、アプリごとに取り込めます。
ナレッジベースの「Application Audio Capture Guide」では、この機能はOBS Studio 28以降で、Windows 10(バージョン2004以降)とWindows 11で使えるとされています。
同じ記事では、アプリケーション音声キャプチャを使う場合は、エコーを避けるために設定の「音声」でデスクトップ音声を無効にするよう案内されています。
ループバックで、マイクとPCの音を本体でまとめる
AG03MK2の LOOPBACK のように、マイクとPCの音がまとまって届く場合は、OBSではインターフェースの入力1つで配信の音がそろいます。
このとき「デスクトップ音声」も有効のままだと、PCの音がループバック経由とデスクトップ音声経由の2回入ることになります。
この点は公式資料に直接の記載が無く、上のFAQの説明から編集部が整理したものです。
ループバックを使うときは、「デスクトップ音声」を「無効」にして、インターフェースの入力を1か所だけで取り込みます。
ナレッジベースの「Audio Sources」には、設定の「音声」で選んでいるデバイスを、ソースの「音声入力キャプチャ」でも選ぶとエコーの原因になるという注意書きがあります。
シーンごとにソースとして追加する場合は、先に設定の「音声」側でそのデバイスを無効にするよう案内されています。
WindowsでScarlettのループバックが見えないとき
Focusriteのサポート記事では、WindowsのOBSやDiscordのようにASIOを使わないアプリは、インターフェースの2つの入力だけを検出すると説明されています。
そのため、DAWを使わない場合は、ループバックのチャンネルが選べないことがあるとされています。
表示させるには、タスクバーのFocusrite Notifierのアイコンを右クリックし、「Expose/Hide Windows Channels」(日本語の記事では「Windowsチャンネルの表示/非表示」)で Loopback L + R にチェックを入れます。
そのあと、配信ソフトの音声の設定で、入力として Loopback L + R を選びます。
アプリによっては、この入力がマイクとして表示されることがあるとも書かれています。
Scarlett 4i4以上(第4世代)では、Focusrite Control 2でループバック用のミックスを作り、自分の声が戻らないように Playback 1-2 をミュートする手順が案内されています。
出典:非ASIO Windowsアプリ用のWindowsチャンネルの表示/非表示、Windowsのストリーミングソフトウェアでループバックを使用して複数の入力を追加する(いずれもFocusrite)。
自分の声の聞き方とハウリング
ヤマハのFAQでは、AGシリーズをPCにつないでハウリング(フィードバック)が起きるのは音がループしているためで、配信ソフトではモニターをオフにするよう案内されています。
OBSでは、メニューの「編集」から「オーディオの詳細プロパティ」を開き、インターフェースの入力の「音声モニタリング」を「モニターオフ」にします。
Focusriteも、ループバックを使うときは録音ソフト側でループバックのチャンネルをミュートし、フィードバックのループを作らないよう求めています。
自分の声は、インターフェースのヘッドホン端子から聞く形にしておくと、OBSのモニタリングを切っても確かめられます。
ヘッドホンの端子とケーブルの選び方は、配信・動画編集用ヘッドホンの選び方を参考にしてください。
公式仕様で比べる4機種
ここまでの条件を、2026年10月18日に各メーカーの公式ページで確かめた仕様で並べます。
掲載順は性能や売れ行きの順位ではなく、価格は書いていません。
| 製品 | マイク入力 | ゲイン幅 | ループバック | 電源 |
|---|---|---|---|---|
| ヤマハ AG03MK2 | コンボ端子1つ(マイク・ライン、+48V) | 仕様ページに記載なし | あり(STREAMING OUTで切り替え) | USB-Cの電源入力(5V、900mA) |
| Focusrite Scarlett Solo(第4世代) | 1つ(ファンタム電源あり) | 57dB | あり | バスパワー(900mA) |
| Focusrite Scarlett 2i2(第4世代) | 2つ(ファンタム電源あり) | 69dB | あり | バスパワー(900mA) |
| Focusrite Vocaster One | 1つ(ファンタム電源の操作あり) | 70dB | ステレオ2組 | 900mAのUSBポートが必要 |
AG03MK2のCH1のコンボ端子は、ヘッドセットマイクの端子と同時には使えないと仕様ページに書かれています。
Scarlett 2i2(第4世代)とVocaster Oneには、入力レベルを自動で合わせる Auto Gain があります。
Focusriteの製品ページでは、Scarlett SoloとScarlett 2i2の同時入出力は、ループバックの入力を含めて4×2と記載されています。
必要なゲインはマイクごとに違うため、使うマイクのメーカー資料で感度や推奨のゲインを確かめてから選んでください。
出典:Scarlett Solo、Scarlett 2i2、Vocaster One(いずれもFocusrite、英語)。
注文前に確かめること
- 同時に使うマイクの数だけ、XLRの入力がある
- マイクに必要なゲインとファンタム電源に、入力側が対応している
- PCの音をループバックで混ぜるか、OBSで取り込むかを決めた
- Windowsで使う場合、ループバックのチャンネルが配信ソフトから見えるかをメーカーの資料で確かめた
- USBの給電だけで足りるか、別に電源が要るかを確かめた
OBSで音が入らない、片方しか聞こえないといった症状は、OBSに音声が入らないときの対処法(CGメソッド)で順に確かめられます。
マイクとゲーム音を別のトラックで録画したい場合は、OBSの音声を分ける方法(CGメソッド)も参考になります。


