結論から書くと、RTX 5060 Tiの8GB版と16GB版の違いはビデオメモリ(VRAM)の容量だけです。
CUDAコア数・クロック・消費電力は、NVIDIA公式の仕様表で1つの値しかありません。
どっちを買うかは、フルHDのゲームや8BクラスのLLMなら8GB、12B以上のLLMやFLUX.1なら16GBが目安です。
この記事は、VRAMの差が出る場面を公式仕様と各ソフトの公式ドキュメントで整理します(2026年10月25日時点、実機の体感は書いていません)。
RTX 5060 Tiの価格とベンチマークは パーツDBのRTX 5060 Ti に毎日更新でのせています。
RTX 5060 Tiの8GB版と16GB版はVRAM以外が同じ仕様
まず、2つの版がどこまで同じかを公式の仕様表で確かめます。
違いはメモリ容量の1行だけで、GPUそのものは同じ製品です。
NVIDIA公式の仕様表で比べる
NVIDIA公式ページには、RTX 5060 TiとRTX 5060の仕様が並んで載っています。
8GB版と16GB版で別の値になっているのは「標準メモリ構成」の行だけでした。
| 項目 | RTX 5060 Ti 8GB | RTX 5060 Ti 16GB | RTX 5060 |
|---|---|---|---|
| ビデオメモリ | 8GB GDDR7 | 16GB GDDR7 | 8GB GDDR7 |
| メモリインターフェース | 128-bit | 128-bit | 128-bit |
| CUDAコア | 4,608 | 4,608 | 3,840 |
| ブースト/ベースクロック | 2.57/2.41 GHz | 2.57/2.41 GHz | 2.50/2.28 GHz |
| 総グラフィックス電力(TGP) | 180W | 180W | 145W |
| システム電源の要件 | 600W | 600W | 550W |
| 電源コネクタ | PCIe 8ピン×1(または300W以上のPCIe Gen5ケーブル×1) | 同じ | 同じ |
| 発売 | 2025年4月16日 | 2025年4月16日 | 2025年5月 |
出典:NVIDIA GeForce RTX 5060 ファミリー 仕様(2026年10月25日確認)
つまり、16GB版を買っても計算の速さは8GB版と同じで、変わるのは「VRAMに入る量」です。
公式ページの価格は「Starting at」の表記のままなので、差額はメーカーと店舗のページで確かめてください。
当方のパーツDBの性能値はRTX 4060・5060と比べると位置が分かる
当方は designoma.com でGPU 78機種のパーツDBを公開しています。
Blender・3DMark・PassMark の値を出典つきでのせたものです。
DBは8GB版と16GB版を区別せず、RTX 5060 Tiを1機種として同じ値をのせています。
| 機種 | Blender | 3DMark Steel Nomad | PassMark G3D | VRAM | TGP |
|---|---|---|---|---|---|
| RTX 5060 Ti | 4,320(16位) | 3,622(25位) | 22,614(27位) | 8GB/16GB GDDR7 | 180W |
| RTX 5060 | 3,691(21位) | 3,178(31位) | 20,622(35位) | 8GB GDDR7 | 145W |
| RTX 4060 | 3,120(26位) | 2,309(47位) | 19,485(40位) | 8GB GDDR6 | 115W |
出典:パーツDB RTX 5060 Ti/RTX 5060/RTX 4060(2026年10月25日確認)
3DMarkとPassMarkの値は各社の公開値の引用で、当方の実測ではありません。
Blenderのスコアで見ると、RTX 5060 TiはRTX 5060の約1.17倍(4,320÷3,691)です。
RTX 4060と比べると約1.38倍(4,320÷3,120)になります。
→ 関連:RTX 5060 と RTX 4060 の比較(パーツDB)
RTX 5060 Tiの8GBで足りる人
先に、8GB版で用が済む使い方を書きます。
性能は16GB版と同じなので、VRAMに収まる使い方なら8GB版で損はありません。
- フルHD(1920×1080)のゲームが中心で、遊ぶタイトルの公式要件が8GB以内
- 動画編集が主で、使うソフトの公式要件を8GBで満たしている
- ローカルLLMは8Bクラスまで、画像生成はSD1.5クラスまで
フルHDのゲームと動画編集はタイトル・ソフトの公式要件で決める
ゲームと動画編集の必要VRAMは、タイトルやソフトごとに違います。
一律の数値を示す公式資料は無く、当方も実機で確かめていないため、ここでは数値を書きません。
遊びたいゲームの公式サイトにある「推奨環境」のVRAM欄と、編集ソフトの「システム要件」を見てください。
どちらも8GB以内なら、8GB版で設定を下げる必要はありません。
→ 関連:動画編集デスクトップPCの選び方
8BクラスのLLMとSD1.5の画像生成は8GBに入る
ローカルLLMは、モデルのファイル容量がVRAMに入るかどうかが最初の目安です。
Ollama公式のライブラリに載っているダウンロード容量は次のとおりです。
| モデル | 容量(Ollama公式) | 8GBに入るか |
|---|---|---|
| gemma3:4b | 3.4GB | 入る |
| qwen3:8b | 5.2GB | 入る |
| gemma3:12b | 8.2GB | 入らない |
| qwen3:14b | 9.3GB | 入らない |
| gpt-oss:20b | 14GB | 入らない(16GBなら入る) |
出典:Ollama library gemma3/qwen3/gpt-oss(2026年10月25日確認)
- 実際に動かすときは、モデル容量に加えてコンテキスト(会話の履歴)分のメモリも要る
- 5.2GBのqwen3:8bは8GBに余裕を残して入る
- 8.2GBのgemma3:12bは容量だけで8GBを超える
画像生成は、ComfyUI公式チュートリアルがSD1.5のモデルを「約4GBで、6GB VRAMのGPUで滑らかに動く」と説明しています。
出典:ComfyUI Docs: Text to Image(2026年10月25日確認)
RTX 5060 Tiの16GBを選ぶ人
次に、8GBでは入らない使い方です。
VRAMに入らないモデルは速度が落ちるか動かないので、ここに当たる人は16GB版を選びます。
- 12B〜20BクラスのローカルLLMを動かしたい
- FLUX.1など、SD1.5より大きい画像生成モデルを使いたい
- 複数の用途を同じPCで何年も続けるので、容量に余裕を持ちたい
12B〜20BクラスのローカルLLMは16GBが要る
上の表のとおり、gemma3:12b・qwen3:14b・gpt-oss:20bは容量だけで8GBを超えるため、8GB版には入りません。
16GBならgpt-oss:20bの14GBも入りますが、残りは2GBなので、長いコンテキストを使うときは注意が要ります。
容量と速度の関係や、CPUに逃がしたときの実測は、当方のローカルAI向けPCの記事に分けて書いています。
→ 関連:ローカルAI用ミニPCの選び方
FLUX.1などの大きい画像生成モデルは16GBでも工夫が要る
ComfyUI公式のFLUX.1チュートリアルは、フル版が「大きいVRAMを要する」と書いています。
同じページで、テキストエンコーダーの t5xxl_fp16 は「VRAMが32GBを超えるときに推奨、少なければ fp8 版を使う」と案内しています。
出典:ComfyUI Docs: Flux.1 Text to Image(2026年10月25日確認)
つまり、FLUX.1を使うなら8GBでは厳しく、16GBでも fp8 版を選ぶ前提になります。
→ 関連:画像生成AI用PCのおすすめ構成
用途別の早見表と迷ったときの決め方
ここまでの根拠を1つの表にまとめます。
| 用途 | 8GBで足りるか | 根拠 |
|---|---|---|
| フルHDのゲーム | タイトル次第 | 各タイトルの公式推奨環境のVRAM欄で確認(一律の公式数値なし) |
| 動画編集 | ソフト次第 | 各ソフトの公式システム要件で確認(一律の公式数値なし) |
| ローカルLLM 8Bクラスまで | 足りる | qwen3:8b 5.2GB(Ollama公式) |
| ローカルLLM 12B〜20B | 足りない | gemma3:12b 8.2GB、gpt-oss:20b 14GB(Ollama公式) |
| 画像生成 SD1.5 | 足りる | 約4GB、6GB VRAMで滑らか(ComfyUI公式) |
| 画像生成 FLUX.1 | 足りない | 大きいVRAMが要る、fp8版を推奨(ComfyUI公式) |
迷ったら「VRAMに入らないものがあるか」で決める
2つの版の性能は同じなので、迷ったときの問いは1つです。
「8GBに入らないモデルやソフトを使う予定があるか」だけを見ます。
- ある → 16GB版(後から足せないのはVRAMだけ)
- ない → 8GB版(差額を別のパーツに回せる)
- 分からない → 使う予定のソフト・ゲームの公式要件を先に調べる
価格の差額は、当方のDBに8GB版の価格が無いため書けません。
RTX 5060との比較は別の軸になる
RTX 5060はCUDAコアが3,840でVRAMは8GBだけなので、RTX 5060 Tiの8GB版とは「性能の差」で比べます。
本記事はVRAM容量の違いだけを扱い、下位機種との性能差はパーツDBの比較ページに任せます。
→ 関連:GPUのコスパランキング(パーツDB)
8GB版と16GB版それぞれのデメリットと対処
どちらを選んでも、気になる点はあります。
それぞれの弱点と、買った後にできる対処を書きます。
8GB版のデメリット:VRAMが足りないときは小さいモデルか設定で逃がす
8GB版の弱点は、VRAMを超えたときに後から足せないことです。
VRAM不足になったときの対処は用途ごとに決まっています。
| 用途 | VRAM不足のときの対処 |
|---|---|
| ローカルLLM | 容量の小さいモデル(gemma3:4b 3.4GB など)に替える |
| 画像生成(ComfyUI) | fp8 版のモデルに替える、生成サイズを小さくする |
| ゲーム | テクスチャ品質と解像度の設定を下げる |
| 動画編集 | プレビュー解像度を下げる、ソフトの公式要件を再確認する |
16GB版のデメリット:価格が上がるのに速度は変わらない
16GB版の弱点は、追加で払った分が「容量」にしか効かないことです。
CUDAコアもクロックも同じなので、VRAMに収まる使い方では8GB版と同じ速さです。
電源の要件は両方とも600Wで、16GB版だからといって大きい電源は要りません。
対処は、8GBに入らない用途があるかを買う前に上の表でたしかめることです。
無いなら、差額をCPUやメモリ、ストレージに回したほうが使い勝手に効きます。
まとめ:RTX 5060 Tiの8GBか16GBかは「入るか」で決める
- 8GB版と16GB版の違いはVRAM容量だけ(NVIDIA公式の仕様表、2026年10月25日確認)
- フルHDのゲーム・動画編集はタイトル・ソフトの公式要件で判断する(一律の公式数値は無い)
- ローカルLLMは8Bクラスまで、画像生成はSD1.5クラスまでなら8GBに入る
- 12B以上のLLMやFLUX.1を使うなら16GB版
- 当方DBの性能値(Blender 4,320)は両版で同じ
次にやることは、使う予定のソフトとゲームの公式要件を1つずつ書き出し、8GBを超えるものがあるかを数えることです。
超えるものが1つでもあれば16GB版、無ければ8GB版で、浮いた差額を他のパーツに回してください。
最新の価格とベンチマークは パーツDBのRTX 5060 Ti と GPU一覧 で毎日更新しています。


